旅先での運命的な出会いに感謝する毎日

シャーロット・ブロンテの『ジェーン・エア』は私の好きな本の1つです。主人公シャーロットの強く正しく生きる姿は同性として好感が持てます。この本を読むと作者がどのような人で、どのような人生を送った人なのか知りたくなります。この本が出版された頃も読者は作者が気になったようで(作者が当時「カーラ・ベル」という偽名を使っていました)、作者についていろいろな憶測が飛び交ったそうです。
シャーロット・ブロンテは今から200年近く前に、イギリスの小さな村の牧師の娘として生まれました。彼女の母親は妹を産んで亡くなり、年上の姉妹も病気で亡くなり、結果としてシャーロットは長女としての責任を負うことになりました。牧師の父親は厳格を通り越してやや変人といえるところがあったようで、一家は質素倹約を絵に描いたようなまじめな生活を送っていました。
また当時のハワースは衛生状態がとても悪かったそうです。坂の上に墓地があり、埋葬地の腐敗した水が地下水となって村の井戸に流れて込んでいたとか。そのために病気になる人も多く、村人の寿命も短かったそうです。曇りや雨の日が多い気候、冬の厳しい寒さ、気難しい父親、長女という重み。
シャーロットが笑ったことがあったのか私には想像もつきません。彼女の人生を知れば知るほど、彼女の苦労が感じられて涙を誘います。 現在シャーロットの家族が住んでいた家は博物館となっています。
他にこれといって見るべきものがないハワースですから、この村の宿にはシャーロットや、彼女と同じく作家となった妹エミリーに関心の高い人が集まります。私は同じ宿に泊まっていたラウリーというカナダ人の女性と出会いました。 ハワースにはシャーロットの弟の行きつけのパブがあります。
私はラウリーにそのパブに連れて行ってもらいました。それまでは「今日はどこに行くか」という旅行の話をしていましたが、パブでお互いが『ジェーン・エア』の大ファンであることが分かり、あっという間に意気投合しました。 主人公ジェーンのすばらしさを二人でたたえ、作者の人生について語り合いました。
そして最後は「はいチーズ」のかわりに、「ジェーン・エア」と言って写真を撮りました。 帰国後はEメールで連絡を取り合っています。しかも話題はシャーロット・ブロンテの人生についてなど。ラウリーは「シャーロットはジョージ・スミス(出版社の社長の弟)を好きだったと思うか?」と私に聞くのです。
私は自分の考えを彼女に伝えましたが、自分の好きな作家に関する専門的な話を誰かと交わすのは楽しいことですね。学術的なのか専門的なのか単に下世話な話題なのか分かりませんが、こんなやり取りができる人と出会えたのでハワースを旅行してよかったと思っています。